太陽光を利用したCO₂の切替および資源化技術
Apr, 2020



気候変動の主な原因の一つと言われているCO₂を産業素材に切り替えることができるという認識が広まっています。

切替のためには外部からたくさんのエネルギーを必要としますが、それで今注目の的になっているのが、地球で一番豊富で環境に優しい「太陽光」です。 



1. CO₂の削減は必須であり、それを資源化こそ正しい解決策


大気中の二酸化炭素(CO₂)濃度の増加による地球温暖化で、世界は大型の洪水や日照り、酷暑など自然災害の危険にさらされています。今、CO₂削減は選択事項ではなく、必須事項となっています。

これまでCO₂削減の取り組みとして、CO₂を分離・収集して貯蔵する技術(CCS)を活用しましたが、最近はさらに性能を高め、CO₂を切り替えて資源として利用するCCU(Carbon Capture and Utilization)技術にシフトしつつあります。気候変動の主な原因の一つと言われているCO₂ですが、これからはそのCO₂がお金になる時代が来るのです。削減による経済的な利益に加えて、CO₂をクリーンな水素燃料、メタノール、DMEのような化学原料など様々な化学素材に切り替える技術が開発されています。そのため、CO₂は環境汚染物ではなく、重要な産業原料に切り替えることができるという認識が高まっています。CO₂の切り替えには外部から大量のエネルギーを必要としますが、地球で最も豊富な太陽光を利用したCO₂の産業資源化技術が一番環境に優しく、最も重要な未来技術として浮上しています。  

 


2. 光電気化学的な人工光合成による化学燃料への切替


基本的にCO₂切り替え技術は、大きく化学反応による化学的切り替えと微生物を利用した生物学的切り替えに分けられます。化学的切り替えは技術の特性により熱触媒化学的切り替え、光化学的切り替え、電気化学的切り替えなどに分けられます。熱力学的にCO₂還元による水分解はエネルギー増加(Uphill)反応です。ギブスの自由エネルギー(△G°=238kJ/mol)の増加を伴うため、外部から大量のエネルギーが必要となります。太陽エネルギーは環境に優しいエネルギー源で、技術力だけ確保できればエネルギーを半永久的に利用することができます。人工光合成とは、自然界の植物の葉で起きる光合成の仕組みを模倣したもので、太陽光をエネルギー源にし、CO₂と水から水素、炭素、酸素で構成されている化合物を合成する技術です。代表的な研究として、2010年の米ローレンス・バークレー国立研究所とカリフォルニア工科大学が中心となって、人工光合成の共同研究センター(Joint Center for Artificial Photosynthesis)を設立し、米最大の研究プログラムである人工・太陽光・燃料生産技術(CO₂、太陽光および水だけで化学素材と合成燃料を生産する技術)の開発が挙げられます。また、2011年に日本のトヨタ中央研究所、2012年にパナソニックでは窒化物半導体を活用した人工光合成システムを利用したCO₂からギ酸(Formic acid)に切り替える技術を開発しました。 


自然界の光合成を人為的な方法でさらに効率よく実現できるようにするため、様々な人工光合成システムが提案されてきました。その中で最も効率よく生成物の分離が容易にできるシステムとして、光電気化学的人工光合成技術が最近脚光を浴びています。人工光合成で太陽光-化合物を生産するためには、水分解反応が必ず起きなければならないし、その時にエネルギーが最もたくさん必要となります。光電気化学的な人工光合成過程で、特に過電圧によるエネルギー損失が多いため、水分解を容易にし、切替の効率を高めることができる触媒が技術のメインです。光電気化学的な人工光合成技術で、水分解とCO₂還元のための高効率の選択的触媒技術が研究の中心となっています。電気の生合成も既存の人工光合成にほぼ類似に概念樹立段階の研究で、CO₂を還元させ、有用なバイオ化学素材を生産することができますが、このような技術はまだ幅広くて深い研究が求められています。 







3. 光電気化学的な人工光合成の触媒技術


 3-1. 水分解触媒技術 

人工光合成は、太陽光エネルギーを吸収して化学エネルギーに変化することを前提に光エネルギーの吸収材料を必要とします。光エネルギーの吸収・変化物質を代表するものにはシリコンのような半導体物質があり、様々な色の染料化合物も人工光合成に使用されます。人工光合成の代表的な反応であるCO₂還元または水分解(プロトン還元と水酸化反応)反応は、すべて電子が参加する複雑な触媒反応です。CO₂還元に使われる電極触媒は還元生成物の種類によって(i)ギ酸生成に選択的なIn, Sn, Hg, Pb, (ii)CO生成に選択的なZn, Au, Ag, (iii)炭化水素、アルデヒド、アルコールなどを生成するCuなどが知られています。また、Al、GaおよびVIII族金属の多くは水溶液でCO₂ 還元反応に対する触媒活性を持っていると知られています。しかし、これまで開発されている電極触媒はCO₂還元反応に対する過電圧が高く、生成物に対する選択度および電流密度が低いとう課題があります。CO₂ 還元にかかる過電圧(Overpotential)を減らして反応中間体に対するエネルギー経路が制御できる高効率の触媒を開発しなければなりません。特に、酸化物から由来した金属ナノ粒子電極合成法が高い活性を見せています。照射された光量に対してCO₂の切替率がメタノール生成を基準にすると0.02%,、ホルムアルデヒド生成を基準にすると0.05%にすぎないため、産業利用にネックとなっています。

 3-2. 二酸化炭素還元の触媒技術 

CO₂を電気化学的に還元すると、エネルギー源で様々な形の再生可能なエネルギーと組み合わせて使用できるため、最近注目されています。CO₂還元はその程度によって様々な競争反応があり、そのような競争反応間の還元電位が似ているため、選択的に生成物を得ることが容易ではありません。特に、水溶液での還元反応は水が還元されて水素が発生する反応がすぐに起きるため、水素生成反応を抑制し、単一生成物の高い選択性を持つ触媒物質の開発が非常に重要です。TiO₂光触媒とゼオライトまたは多孔質シリカと結合された形の触媒も使われました。この場合もメタンやメタノールなどが主なCO₂還元生成物として生成され、TiO₂のみ使用した場合よりCO₂還元効率がより高いことがわかりました。最近はPd助触媒をドーピングしたTiO₂ 表面をナフィオン(Nafion)でコーティングし、紫外線照射の下で電子供与体を添加せず、CO₂をメタンやエタンなどで還元させることが報告されました。


 3-3. 可視光線で作用する高効率の光触媒を開発 

CO₂の光触媒還元のためにTiO₂BiVO₄BiWO6 Zn₂GeOのような多くの光触媒が研究されてきましたが、C=O結合が非常に強く、還元効率が低く、多くは紫外線(UV)領域でのみ活性しました。新しく開発されたシリカ-アルミナに支えられたニッケル触媒(Ni/SiO₂․Al₂O₃)は、CO₂H₂に還元し、CH₄を生成する光触媒反応で活性が高く、再使用が可能で、90%以上の切替率からCH₄に対する選択性が約95%で、可視光線でも光触媒の活性を見せます。また、金属有機構造体(MOF:Metal–Organic Frameworks)は、多孔質およびオンデマンド構造形成の容易性と多様性により、触媒、分離、ガス貯蔵、CO₂捕集など様々な用途に使用できる可能性が高いです。最近の研究では多孔質MOF材料がUVや可視光線の下で有機汚染物質を分解する新しい高触媒として働くことが立証され、CO₂還元によるHCOOH、CH₃OH生産の取組を後押ししました。MOFをCO₂還元触媒に応用する研究開発の将来は非常に明るいと言えます。




4. 太陽光で CO₂を液体燃料に切り替える研究が活発 


最近、太陽光エネルギーを利用してCO₂をメタノールのような液体燃料に切り替える技術に関する研究が韓国国内で活発に行われています。水酸化工程に関する研究は「Holy Grail」と呼ばれていますが、ノーベル賞が期待されているほど注目の分野です。現在、太陽光を利用したCO₂資源化の産業化において最大の争点になるのが、切り替えエネルギーのオーバーコストと光触媒の性能向上および電極での過電圧によるエネルギーの損失です。これから触媒科学や光科学、バイオなど様々なチャレンジ性豊かな技術開発および研究がより多く行われるべきだと考えています。 








地球温暖化の主な原因の一つと言われているCO削減のために角界では様々な取組が実施されています。これまで説明したキム・ヒョンウォン専門研究委員(ReSEAT/KOITA)の『太陽光を利用したCOの切替および資源化技術』論文も代表事例の一つです。太陽光が環境に優しいエネルギーとして注目されているため、グローバル太陽光トータルソリューションカンパニーであるQセルズは非常に重要な役割を担っています。Qセルズの太陽光モジュールの年間生産量は、600万トンのCO削減、20億本の植樹、300万トンの節水、200万台の車両運行削減と同等な効果を発揮しています。 
また、Qセルズはハンファグループのエコキャンペーンである「太陽の森プロジェクト」や「ハッピーサンシャインキャンペーン」に参加し、モジュールの提供など支援活動を行うなと環境を思う活動を積極的に行っています。これからもQセルズは、二酸化炭素の削減という世界の流れに足並みを揃え、太陽光エネルギーに対するポジティブな認識を高める取り組みを進めていきます。