
新型コロナのパンデミックが終息した後の新しい時代を、いわゆる「アフターコロナ時代」と言います。その時代を迎えるための主要課題として「グリーンニューディール」が注目されています。「環境に優しい低炭素経済」へのシフトで気候変動への対応と経済成長の一石二鳥を目指しています。世界各国のグリーンニューディールの動向や韓国政府の基調、グリーンニューディール時代にふさわしいQセルズの役割について考えてみましょう。
FACT 1. ヨーロッパのグリーンニューディール、炭素排出量「0」を目指せ
世界各国では、気候変動への対応と同時に雇用を促進する「グリーンニューディール(ニューディール政策)」が取り組まれています。グリーンニューディールは、「グリーン(Green)」と「ニューディル(New Deal、ルーズヴェルト大統領が世界恐慌克服のために提唱した新政策)」の合成語で、政府がグリーン産業分野に大規模な投資をし、環境問題へ対応しながら、景気回復を図る政策です。
グリーンニューディールは、2008年にイギリスで「グリーンニューディルグループ」が発表して以来、国連環境計画(UNEP)、世界銀行、米国の民主党、ヨーロッパ連合(EU)などが議論を案重ね、打ち出されたものです。 特に、「アフターコロナ時代」の主要課題として「グリーンニューティル」が注目されている理由を挙げると、まず新型コロナのパンデミックは人類の自然破壊によって起きた気候変動と深い関係があるからです。実際に21世紀に入り新型ウイルスが頻繁に出現しています。それは人間がやみくもに環境を破壊し、それによって生き物の生息地が減少した結果、ウイルスを持っている動物が人間と接触する機会が増えたからだという指摘があります。そのため、新型コロナのパンデミック後は、環境と共生する暮らしへの関心が高まっています。次に、新型コロナのパンデミックによって経済不況に陥り、失業率が高くなりましたが、その失業率を解消するためです。再生可能なエネルギーや電気自動車、エネルギー効率など低炭素経済化へ構造がシフトすることにより、共通価値を生み出すと予想されています。
EUは2019年12月に「ヨーロッパグリーンディール(Europe Green Deal)」を発表し、2050年までに炭素排出総量を「ゼロ」にするカーボンニュートラル(Carbon Neutral)の目標達成を宣言しました。カーボンニュートラルは経済活動の中で発生する炭素排出量に当たる再生可能なエネルギーの発電・造林・炭素排出権の購入など炭素削減活動を行い、炭素排出量を相殺することを意味します。グリーンニューディールのため、エネルギー、建築、産業、輸送など主要分野別に明確な目標を提示し、1000億ユーロ規模の「Just Transition Mechanism(公正移行メカニズム)」を発表しました。「Just Transition Mechanism」は、ヨーロッパグリーンディール投資計画の一環として、カーボンニュートラルへシフトする過程で打撃を受ける可能性がある地域や労働者を支援するための「Just Transition Fund(公正移行資金)」を作る目的で、6月現在、約400億ユーロを確保しています。
国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によると、2050年に炭素ゼロを達成するために世界がエネルギー移行に130兆ドルを投資した場合、GDP成長率2.4%増加、再生可能なエネルギー関連職が4200万個(現在より4倍増加)、全体エネルギー関連職は約1億個(現在より4千万個多い)になると予想しています。このようにアフターコロナ時代に備えた計画が着実に実施された場合、歴史的に最も有意義なグリーン投資になると考えられます。

資料 | European Commission(2019), “What is the European Green Deal”
FACT 2. 韓国、グリーンディールで低炭素経済社会へのシフトに拍車をかける
韓国政府は、7月14日に新型コロナウイルス感染症の克服と、先導国家に飛躍するための韓国型ニューディール政策を発表しました。韓国型ニューディール政策はデジタルニューディール、グリーンニューディール、雇用社会セーフティーネットの強化を主な柱とし、2025年までに合計160兆ウォン(約14兆円)を投資して190万個の雇用を創出するという構想が盛り込まれています。その中で最も投資規模が大きい部門がグリーンニューディールで、73兆4千億ウォン(約6兆円) を投資し、65万9千個の雇用を創出する計画です。韓国政府がグリーンニューディールに投資を集中する理由は簡単です。グリーンニューディールで経済を活性化し、国民の暮らしの質を改善すると同時に、雇用創出や新産業誕生につながるという見込みがあるからです。
資料 | 韓国・企画財政部
韓国政府が発表したグリーンニューディールは、都市・空間・生活インフラのグリーンシフト、グリーン産業革新による生態系の構築、低炭素・分散型エネルギー拡散など3大分野の事業が推進されます。都市・空間・生活インフラのグリーンシフトのため、公共賃貸住宅、保育園、保健所など、23万軒の老朽建築物からゼロエネルギー ¹化に乗り出します。また、スマートグリーン都市を25か所造成し、学校のリフォームなどグリーンスマートスクールを集中的に推進します。グリーン産業革新による生態系の構築では、スマートグリーン産業団地を10か所造成し、スマート生態工場100か所、クリーンファクトリー1千750か所を造成します。低炭素・分散型エネルギーを拡大していくため、42か所の屠所地域へ環境にやさしい発電システムを構築し、住民参加型太陽光事業を拡大するなど、再生可能なエネルギーの普及に力を注ぎます。電気自動車113万台、水素ハイブリッド自動車20万台を普及し、老朽化したガソリン自動車116万台の早期廃車を支援するなど、電気ハイブリッド自動車などグリーンモビリティーの普及にも取り組みます。

FACT 3. Qセルズ、太陽光でグリーンニューディール時代をリードしていく
韓国版グリーンニューディール政策により、韓国の再生可能なエネルギー市場も持続的に拡大していくと予想されます。再生可能なエネルギーの主力は太陽光エネルギーです。新型コロナのパンデミックにより経済が低迷している中でも、太陽光事業は成長基調が続いています。アフターコロナ時代の動力源として、その価値が立証されたと考えられます。太陽光事業のグローバルリーダーであるQセルズは、これまで築いてきた技術と経験をベースにグリーンニューディール時代において中心的役割を果たす適任者となるでしょう。
Qセルズの太陽光技術はすでに気候変動や環境問題の解決に活用されています。昨年、ハンファグループはグローバルマーケットの前進基地であるベトナム地域の環境問題の力になりたいという思いで、環境保護キャンペーン「クリーンアップメコン」を実施しました。Qセルズの太陽光モジュールで動く水上ゴミ収集ボートを2隻製作し、ベトナムのヴィンロン省に寄贈しました。当ボートはQセルズの高性能太陽光モジュールを装着し、エネルギー効率を高め、コンベヤー装置を取り付け、浮遊ゴミを収集できるように製作されました。大きさは、全長6.45m、幅2.3m、高さ2.6mで、毎日6~7時間メコン川を行き来しながら約400~500kgのゴミを回収しています。
昨今Qセルズは、現代自動車グループと電気自動車バッテリーの再使用ESS共同開発MOUを締結しました。これは韓国グリーンニューディールの低炭素・分散型エネルギー拡散政策にもつながります。Qセルズは現代自動車グループと協力し、今後再生可能なエネルギー関連の顧客およびインフラを活用し、大規模なESSプロジェクトの発掘も可能になると思われます。再生可能なエネルギーの中で欠かせないものは「水素エネルギー」です。ハンファグループは現在二コラと協力し、米国の水素生態系市場への進出を計画しています。進出時にQセルズは、水素充電所で使用される太陽光モジュールを供給します。太陽光発電で生産した電力を充電所に供給することで、温室ガス排出「ゼロ」達成の道へさらに一歩近づくことになります。
2014年に、Qセルズはフランスの太陽光市場で「カーボンフットプリント(Carbon Footprint)」認定を獲得しました。「カーボンフットプリント(Carbon Footprint、CFP)」は、人々の活動や品の生産、消費するまでの全過程の中で、直接的かつ間接的に排出される際に発生する温室ガスの排出量を二酸化炭素(CO2)に換算した総量を意味します。フランスでは、再生可能エネルギー設備の公共調達の際に「カーボンフットプリント(Carbon Footprint、CFP)」指標を反映するため、非常に重要な意味を持っています。Qセルズが低いCFP指標を獲得しているのは、環境に優しい製品を販売しているだけでなく、生産過程でも環境汚染を防止するために努力していることが証明されているからです。韓国にもフランスのCFPに似た「炭素認証制」があり、これは太陽光モジュール製品を対象としています。おり、太陽光モジュール製造の全過程(ポリシリコン-インゴット、ウェハー-セル-モジュール)で排出される温室ガスの総量を計量化(CO2・kg)し、検証する制度です。韓国政府は今年の下半期から炭素排出量に基づいてモジュールを3つの等級に分け、等級別に差別化されたインセンティブを提供する計画です。韓国に炭素認証制が導入されると、すでに環境汚染防止に取り組んでいるQセルズの競争力はさらに高まると考えられます。
世界は今、新型コロナのパンデミックによる経済危機や気候危機を同時に乗り越えるため、低炭素経済社会への政策移行を進めています。韓国もグリーンニューディールで低炭素・環境に優しい「グリーン経済」へシフトするため、これから政府の政策をベースに、再生可能エネルギー市場を拡大していく可能性が無限大に広がっています。Qセルズはこのような外部環境の変化に対応しながら、グローバルエネルギーパラダイムのシフトにも取り組んでいきます。また、グリーンニューディール政策を見据えた緻密な戦略や迅速な対応で太陽光市場をリードしていきます。
1. ゼロエネルギー:建物に使われるエネルギーの消費を最小化し、再生可能なエネルギーを積極的に活用し、建物自体のエネルギー自立度を高めることを言う。ゼロエネルギー建物は一般建物より室内温度を均一維持しますので、実際に生活費の節減に繋がります。